- 2025年10月18日
- 2025年10月19日
第79回日本臨床眼科学会(大阪)に参加してきました!
10月9日~12日に大阪で開催された「第79回日本臨床眼科学会」に参加し、一般口演と視能訓練士プログラムの2つのセッションで発表を行いました。
全国から多くの先生方や視能訓練士の皆さまが集まり、活気あふれる学会でした。

■ 一般口演
「0.025%および0.01%アトロピン点眼とオルソケラトロジー併用の近視進行抑制効果の比較」
当院で治療を行っている小児近視患者さんのデータをもとに、0.025%アトロピンとオルソケラトロジー(OKレンズ)を併用した場合の効果を、0.01%アトロピン+OK併用群と比較した研究を発表しました。
その結果、0.025%アトロピン+OK併用群の方が、近視の進行をよりしっかり抑えられる
ことがわかりました。
カルテの情報を利用した後ろ向き研究でしたが、それぞれで100例近くの群間比較ができたので、臨床的な意義は大きいのではないかと思いました。
小児期の近視は低年齢ほど進行が速く、発症初期からの治療がとても大切です。
日々の臨床で得たデータをもとに、子どもたちの視力を守る治療法を少しでも進化させていきたいと考えています。
■ 視能訓練士プログラム講演
「共同性斜視・麻痺性斜視に対するボツリヌス治療」
視能訓練士プログラムでは、ボツリヌス毒素(BTX)注射による斜視治療について講演しました。
BTX注射は、筋肉の緊張を一時的にゆるめて眼の位置を整える治療法です。
手術よりも体への負担が少なく、外来で短時間に行えるのが特徴です。
特に、発症して間もない後天共同性内斜視(スマホ内斜視)や外転神経麻痺のような麻痺性斜視に有効です。
実際の症例では、発症から早く治療を開始するほど治りやすいことがわかりました。
講演では、効果を最大限に引き出すための視能訓練士さんの役割や、適応を見極めるための眼位評価のポイントも紹介しました。


■ 学会を終えて
今回の学会では、いずれのセッションも多くの方にご聴講いただき、立ち見が出るほどの盛況でした。
質疑応答の時間も活発で、同じ分野で日々努力されている先生方と意見交換ができ、とても貴重な時間でした。
近視治療も斜視治療も、「見る」だけでなく「快適に見る」ことを守るための大切なテーマです。
これからも研究と臨床を両立しながら、全国の皆さまに最良の医療を届けてまいります。
■ 発表演題
- 一般口演:
0.025%および0.01%アトロピン点眼とオルソケラトロジー併用の近視進行抑制効果の比較 - 視能訓練士プログラム:
共同性斜視・麻痺性斜視に対するボツリヌス治療